split-bar

関節リウマチの治療・実績

(1)薬物療法

①非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

炎症を抑える、いわゆる「痛み止め」の薬です。
関節破壊の進行を抑えることはできませんが、痛みにより日常動作が制限されてしまう場合には効果的です。
即効性で、鎮痛や解熱作用も併せ持っています。

主な副作用 胃腸障害、腎障害、呼吸器障害など

②副腎皮質ステロイド

即効性がありますが、関節破壊の抑制効果は短期間に限定されます。
長期的に使用すると多くの副作用が起こりますが、その即効性を生かし、抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用が行われています。

主な副作用 ムーンフェイス、不眠、食欲障害、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、ステロイド潰瘍など

③抗リウマチ薬(DMARDs)

関節リウマチの原因である免疫異常に作用し、病気の進行を抑える薬です。
現在のリウマチ治療の第一選択薬となっています。
遅効性で効果が出るまで1カ月~半年ほどかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。

主な副作用 胃腸障害、腎障害、肝障害、間質性肺炎など

④生物学的製剤

生物学的製剤は、生物が産生した蛋白質を利用して、最先端のバイオテクノロジーによって作られた薬です。
高価ではありますが、炎症や関節破壊の原因となる物質(サイトカイン)に働き、有効性が高いのが特徴です。
ただし、免疫抑制作用を持つため、肺炎や結核などの感染症に注意が必要です。

主な副作用 肺炎、結核、アレルギー

標的物質一般名投与方法投与間隔MTX併用
TNFインフリキシマブ点滴8週に1回(4週に1回)必須
アダリムマブ皮下注(自己注可)2週に1回原則併用
エタネルセプト皮下注(自己注可)週に1回併用が好ましい
セルトリズマブ・ペゴル皮下注(自己注可)2週に1回
ゴリムマブ皮下注4週に1回
IL-6トシリズマブ点滴4週に1回
皮下注2週に1回
T細胞アバタセプト点滴4週に1回
皮下注週に1回

(2)手術療法

薬物療法を行っても症状の改善が認められない場合、手術療法を行うことがあります。
関節の機能を再建し、QOL(生活の質)の向上を図ります。

術式対象方法効果・その他
滑膜切除術長期間痛みが持続している場合。 軟骨が残っている早期に有効。炎症が起きている滑膜を切除痛みを取り除き、関節破壊の進行を防ぎますが、再発することもあります。
人工関節置換術関節破壊により関節の機能が低下した場合破壊された骨や関節を取り除き、人工関節と置き換える痛みが取れ、歩行困難な方が歩行可能となることが期待できます。
関節固定術関節破壊が進行し、頻繁に脱臼が起こる場合骨と骨を癒合し固定する痛みはほとんどなくなりますが、関節可動域が少なくなります。
腱形成術手指の腱が切断してしまい指が伸びなくなってしまった場合
  • 切れた腱をつなぐ
  • 他の腱を移植してつなぐ
指が再度伸びるようになります。




arrow リウマチ科へ戻るarrow 関節リウマチの治療目標


split-bar